何をやるにも、向いている人と向いていない人がいます。
飲食店経営も同じです。
私も飲食店経営者ですが、順調に続けている経営者、なんだか危うい経営者、実際に辞めていった経営者たちを見ていて、似通った特徴から大きく2つの性格的欠点に絞って、今回は綴っていこうと思います。
その性格的欠点を最初から言ってしまうと、
・主観が強い
・ストレス耐性が低い
なのですが、「なんだ、そんなの当たり前じゃん」と思いますよね。
しかしこれ「自分はその部分は大丈夫」と思いこんでいるだけで実は該当しているって人がめちゃくちゃ多い性格なんですよ。自分ではなかなか気付きにくい要素ということでしょう。
美味しい料理が作れても、経営に自信があっても、この2つの欠点を持っていると廃業の危険度が上がってしまう…。
これから飲食店を開業する予定の方、または開業された方にも参考にして頂ける内容になっています。
欠点その1、主観が強い
主観が強い…と言っても、おそらく多くの人が「いや、自分はそんなことはない、客観的に見れるし、広い視野で見れる」と思っていることと思います。
しかし、どんな人でも主観に影響されずに物事を考えるのは、そう簡単なことではないんですよ。
どういうことか解説しますね。
ちなみに主観とは簡単に言うと『自分だけが納得している認識』です。
『これは良いこと(または悪いこと)』『それはこう思う』というような、自分の経験などから発想されるもの。
これに対する反対の観念が客観ですね。
主観は当然誰にでもありますし、それ自体が悪いことでは決してありません。
しかしこれが強いとなると、飲食店の経営には悪影響を及ぼすと断言してもいいです。
主観の強い飲食店経営者はこんなようなことをよく言います。
「こうするべきだ」「これはそういうもの」「こうでなきゃだめ」
そして第三者の話に対しても、肯定や興味を示すより、異論や自論、否定を唱えることのほうが多いんです。
ちょっと大げさですがわかりやすいキャラクターを挙げるとすると、一昔前によくいたラーメン屋の頑固亭主なんてその典型だと思います。
自慢のラーメンを自身が一番美味しいと思うコンディションで食べてもらいたいがゆえ
「うちのラーメンにはコショウをかけるな」「麺が伸びるから黙って食べて」のように、食べ方などにルールを課すという。
今となってはなかなか少数キャラになったことからも時代とお客様のニーズに合っていないと言えるのではないでしょうか。
お客様が美味しさを感じる条件は百人百様ですからね。
さて飲食店の経営では、お店作りから運営まで、構想・計画通りにいかないこともよくあります。
そんな時に活かされるのがやはり客観的観測です。
例えば、
『実際に営業してみると目玉商品以外の商品の方がよく売れる…』
『目標の売り上げ額にちっとも届かない…』
というような目論み違い。
これは“自分の考えがハズれた”状態なわけですから、答えを知っているお客様側のビジョンから見るように理由を探ったほうがいいと言えます。
『サラリーマン狙いだったが意外に女性客が多く、量に応じた料金設定にニーズがありそう』
『目を引くようなオシャレな外観にしたけど、それが逆に入りづらいのかも』
こんなふうに客観的目線で自分の店を見るようにするんです。
先ほども言いましたが主観は誰にでもあり、おいそれと客観視して答えが出せるわけではないのですが、意識的にでもそうしないとお店の運営は経営者の主観だけになってしまいます。
人は、自分の認識が一般的認識であると思いこんでいる傾向があると言われています。
ですから、お客様が本当に求めているのは何か、日頃から意識的に客観的観測をすることはとても重要です。
日頃から客観的に物事を見ると言ってもどういうふうにすればいいのかピンと来なければ、こちらの記事が参考になるかと思います。高い廃業率、やばい飲食業界。それでも収益を上げる飲食店経営者たちの特徴とは? よろしかったらご覧ください。
余談ですが、昔、お付き合いがあった居酒屋さんで飲んでいたとき、冷奴が食べたくて注文したら店長が「今日は特別サービスだよ!」と、もずく酢がかかったお豆腐が出てきたんです…
私、このお店のもずく酢も大好きでよく注文していたので、店長は私の好物をトッピングすれば私が喜ぶと思ってやってくれたのだと思います。
しかし、私の心の中は「なにをしてくれたんだ」…と。
私は薬味とお醬油で食べるシンプルなお豆腐が食べたかったんです。冷奴を頼んだんだからいつもの冷奴を出してくれよ…と。
私もはっきりそう言えればいいのですが、店長の気遣いに応えるべく「わーおいしそう!」とか言っちゃうもんだから、またその店長も「でしょう?」なんて『自分の気の利いたサービス』にさらなる自信を持たせてしまうという…。
この一件でこのお店にはもう行かなく…なんてこともないですが、こういうタイプの人は『これなら絶対おいしい』『こうすれば客は喜ぶ』みたいな主観が日頃の言動の元になっているので、会話の中でも自論の主張が強く、ちょっと面倒くさい場面も多々ありました。
今はもうそのお店はないのですが、私にとって良い反面教師でもありました。
欠点その2、ストレス耐性が低い
人間関係のストレスに弱い…これもそりゃ当たり前だと思うでしょう。
飲食店やるくらいなんだからそれは心得ていますよ
ストレスを受けるっていうと、落ち込んだりクヨクヨと自分だけで抱え込むイメージがありますが、それにとどまらず、気性が荒くなったり、おかしな行動をとったり、人を傷つけたりなど、他者に向けた行動に出る人も多いのです。
ようするに心が乱されている状態なのでトラブルの原因となり得るのです。
そもそも人々のストレスにおいて、多くの原因は『人』です。
そして、ただ単に「深く考えない性格だから大丈夫」「自分は社交的」だけではケアしきれない事案にたくさん遭遇します。
【飲食店経営者によくある7つの特徴。性格、学歴、モテ度…あるあるを解説します。】こちらの記事でも少し触れていますが、飲食店経営はたくさんの人と人とが絡み合う職種であるため、対人ストレスは常についてまわってきて、対処や回避する技術も大きなポイントになってきます。
私の知人の飲食店経営者に、もともと会社勤めをされていた方がいます。
彼いわく、組織の中での序列や人間関係に疲れて(嫌になって)、一国一城の主になるべく開業したのだとか。
脱サラからの飲食店開業はわりとよくあるパターンですね。(かくゆう私も脱OLからの開業です)
お店の経営においては最高の権限を持ち、干渉されることのない立場ではありますが、毎日いろんなお客様を接客し、他にもスタッフ、関係業者、地域の人との関わりや交流も育んでいかなければならず、「会社よりも人との関係性を大切に扱わなければならない場所だ」と彼はよく言っています。
このようにほとんどの経営者さんが常に人間関係に悩んだり疲弊していると言っていいと思います。
飲食店を開業するような人たちは、もともと人と接するのが好き、得意、という人がほとんどなのにも関わらず…です。
私の体感的には、圧倒的に多いのがお客様との関係性についての悩み、その次に多いのがスタッフとの関係性や近隣とのしがらみなどの悩み、といった感じです。
そして、関係者よりもお客様との関係性のほうが問題の対処が難しい場面がある、ということも理由のひとつでしょうか。
飲食店経営者のよくある失敗3つ。実は危険な“良かれと思ってやっている”ソレ。こちらの記事では経営者の振る舞いによって自分の首を絞めかねない失敗3つを書いていますが、お客様との関係性構築におけるトラブルについても解説していますので、よろしければ参考になさってください。
本当にいろいろなお客様がいますからね。
「ちょっと困るお客さん…」飲食店のちょっと嫌なお客様あるある。接客、集客対策。
いかがでしたでしょうか。
主観の強さと、人間関係ストレスへの弱さは、いつか経営をも揺るがします。
せっかく一念発起して飲食店開業という大舞台を作り上げるのですから、ネガティブな要素は前もって少しでも対処しておきたいですよね。
老婆心ながらそんなお話でした。
少しでも参考になれば幸いです。
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