あなたは自分のことを運が良いほうだと思いますか?悪いほうだと思いますか?
それとも、そもそも運なんて不確かなものを信じていない、とか。
この、見えない運というものの正体について、実はいろんな科学者たちが真面目に研究をしています。
その様々な研究の中でわかってきたのは、「運が良い人」と「運が悪い人」の違い、それはどうやら性格や行動に違いがある、ということなのだそうです。
興味深いですよね。勘が鋭いとか、見えない力ではなく、日常の振る舞いによって運が良さが変わってくるというのですから。
まあしかし運が良いに越したことはありません。
手に入れられるものなら誰もが欲しい素質ではありますが、実は飲食店経営者はわりとその理想的な環境にいると私は常々考えています。
私は普段、飲食店経営や顧客心理についての記事を書いていますので、今回も飲食店経営者に向けた内容になっていますが、飲食店関係の方じゃなくても参考にしていただける内容だと思いますのでご興味ありましたらぜひ最後までご覧ください。
運が良い人の特徴、
なぜそれが運をひきつけるのか、
そして、
その特徴を身につける方法を解説していこうと思います。
運が良い人は外向性と解放性が高い
人の性格は、誠実性、協調性、外向性、開放性、神経症傾向という大きく5つの因子から構成されているといわれています。
その中で、運が良い人の性格傾向は「外向性と開放性が高い」ということなんです。
まず、外向性とは外に興味が向いている性質のことです。
外向性が高いと言うと、社交的な人をイメージするかもしれません。
確かに外向性の高い人は社交的な傾向があるのは事実ですが、重要なのはとにかく『外に興味が向いている』ということです。
人って一番興味があるのは『自分自身』なんです。
他者から聞く話しや外部からの情報も、興味が沸くのは『自分が欲するもの』『自分のためになるもの』が主ですよね。
それに比べ、外向性の高い人は『自分以外にもよく目が向けられている』ので、一見、自分に必要もなさそうな情報でも自然と得ているんです。
そのため多分野の情報や知識を蓄えていたり、いろいろなところに注意が向いています。
そしてもう一つの性格、開放性とは、好奇心が強いとか新しい物を受け入れる性質のことです。
チャレンジ精神が旺盛だったり、概念にとらわれず初めてのことに取り組んだり情報収集にとてもポジティブな人ですね。
実は、人間は変化を起こしたがらない性質があるんです。
未知のものへの警戒、リスクへの恐れが先立ってしまい、現状維持を好む人が多いんです。
何事もチャレンジ!って言うのは簡単ですけど、勇気や気力が必要だったりしますよね。
さらには歳をとるにつれ『これはこういうものだ』と思考が固執されていく傾向もあり、なお変化を嫌います。
しかし開放性の高い人は、未知へのリスクや恐怖より興奮の方が勝るため、多くの物事に触れることができます。
どうですか?外向性と開放性、あなたがこの2つに当てはまったら、なかなかの運の良さを持ち合わせているのではないでしょうか?
その2つの性質の何が運を良くするのか
ではなぜ外向性、開放性が高いと運が良くなると言われるのか?
もうおわかりかと思いますが、外向性、開放性の高い人たちはその性質に基づく行動から、どこに転がっているかわからないチャンスや機会にたくさん近づくことができる、ということなんです。
様々な物事によく目が向く分、多くの情報が入ってきます。情報や経験が多ければ何かの際にそれが役立つ場面も増えることでしょう。
人をよく知れば、その人の力もうまく活かすこともできます。
自分ひとりの力を活かすよりもグググっとチャンスが増えるわけです。
運はみな平等、でも、運の良い人はより多くチャンスに出会える行動をとっている、ということなのです。
運を良くする方法
冒頭でも触れましたが、飲食店経営者は運を良くする理想的な環境にいると言えます。
外向性と解放性を高めるために日常の中で意識的にできることを紹介します。
外向性を高めるには
外向性を高めるには、いろんな人の話をよく聞いてみましょう。いわゆる聞き上手になるんです。
飲食店経営者は、スタッフ、お客様、業者さんなど、日頃から人と会う機会が多いのでうってつけです。
ちなみに聞き上手とは、ただ愛想よく頷いて聞いているのではなく、
うんうん、その後どうした?なんでそうなったの?美味しかった?へぇどこのお店?と、その内容を引き出し相手に気持ちよく喋らせることができる人を聞き上手と言います。
ひとことで言うと「なになに?それ教えて!」のスタンスです。
実はこの「なになに?それ教えて!」な人ってものすごく得な人でして、相手の快楽をとても刺激するので、相手から好意を持ってもらえるし、好意があるといろんな情報をくれるんです。
ですので、どんなに社交的に振舞えても自分の話ばかりする人は自分の内に目が向いてしまっていて、外には興味が向けられていない、ということなので、必ずしも社交的な人が有利ということではないのです。
あくまで「外への興味」が重要なんですね。
ひとつ、ポイントとして『否定は極力避ける』を心がけることをおすすめします。
なにかと否定から入る人っていますよね。
例えば、政治の話に「この政策、成ってない」とか、
話題のグルメに「こんなの見た目だけ」など。
この “なにかと否定する人” は、実は否定をしている自覚がなく、鋭いツッコミ、賢い意見、として発している人が多いんです。
しかし、否定をしてしまうとそこで終わってしまう(自分の中で完結してしまう)のです。
それ以上、深堀ってみたり、ちがう側面から見ようという動機がなくなり、せっかくの外からの情報が遮断されてしまいます。
否定的な言葉の有害性についてはこちらの記事でも詳しく触れているのでよろしかったらご覧ください→それやっちゃダメ!嫌われる3つの「NG会話」接客 営業 人間関係コミュニケーション
「この政策でどういう人が救われるか」
「このグルメがなぜこんなに人気なのか1度食べてみよう」
もし相手が間違っていることを言っていても「なんでそう思ったの?」
と、一旦、別角度から考察してみようと思えるといいですよね。
一つの物事を10人で見ていたら、自分以外の9人にはそれぞれの見方があるので、その9人の見方を探ってみる感じです。
また、人の話を聞くだけじゃなく、気持ち悪がられない程度に人間観察してみるのも良いと思います。
開放性を高めるには
やっぱりいろんな事にチャレンジしてみるのが一番です。
つきなみですが、飲食店経営者さんならいろいろなお店を経験してみるあたりは挑戦しやすいのではないでしょうか。
あまり行かない地域で行き当たりばったりに飲食店を探索するのもとても良いと思います。
余談ですが、私が知っている経営者さんに “見た感じ、流行っていなさそうなお店” にあえて飛び込む、という面白い人がいます。繁盛店にはない発見があるそうです。目線が違いますね。
しかし、何事にもチャレンジと言っても、時間的に経済的に気力的に難しい場合もあります。
なので、チャレンジなんて大きな試みをしなくても、触れてみる、受け入れてみるということを意識してみるのも良いと思います。
例えば、世代や育ちの違うスタッフやお客様の価値観やブームなどを受け入れてみたり、雑誌やインターネットなどで新しい家電やグルメの記事などにも、自分に必要ないものであっても「どんなものかな」ととりあえず見てみたり。
未経験の食材に積極的に触れてみるのもいいですよね。
以前、お付き合いのある卸売業者さんから聞いたことがあるんです。「飲食店さんは新商品はなかなか買ってくれない」と。
飲食店が仕入れる食材はメニューに準じているのでだいたい固定化されていますから、あえてそこを打破してみるのも有意義だと思います。
最近はサンプルを豊富に用意している業者さんも多いですから、ジャンルの違うものでもとりあえず試してみるのも良いでしょう。
また飲食店には度々、商材案内が送られてきたり、展示会などの招待があるかと思います。今まではすぐ捨ててしまっていたとしたら、あえて見てみたり、参加ししてみるのも大いに有効です。
こんなふうにいろんな機会に触れやすい環境というのは経営者ならではだと思うのです。
世の中にあるものは自分が知らないことのほうが圧倒的に多いのです。
こうしていくうちに新しい物事への抵抗感が減り、いざ何かのチャンスを目の前にしたときすぐにトライできるようになっていくと思います。
いかがでしたでしょうか?
運とは不確かなもの。しかし誰もが経験する偶然的な出来事。
それが日頃の振る舞いでチャンスが増えるというなら、使わない手はないですよね。
最後に、脳科学者・中野信子さんと、ドラゴン桜の桜木先生が、
「自分は運が良い!」と言い聞かせることも大切だ。と言っていたことをお伝えして、締めくくろうと思います。
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