飲食店の経営には集客や営業方法などの取り組みが必要ですが、ないがしろにすると危険なのが地域や周囲の人たちとの関係性です。
今回は「群れから外れると生きていけない」そんな人間の本質から経営について考えていきたいと思います。
以前、スタッフや関係者の仲が円満だと集客にも有利に働くという記事を書きました。
(ちなみにその記事はこちら→『客が来ない店』にいる悪霊の正体。潰れそうな店に必ずある『負の連鎖』 活気と円満アピール集客術)
地域に対しても同じで、お店という『箱』をその地域にどーんと置いて営業していくのですから、付き合いとか、助け合いとか、なんとなく大事なものであろう理解は皆さんあると思います。
まぁでも正直、面倒くさいときもありますよね。
それ抜きでやっていけたら…と思っている経営者さんもいることでしょう。
しかし、それが経営を左右するものだとしたら…
経営者なら知っておいて損はないお話です。
本能的に群れる生き物である『人間』と、『飲食店の経営』
なぜ、地域や周囲の人との関係性をないがしろにしないほうが良いのかというと、人間は基本、生きるために群れる性質が備わった生き物だからです。
まずこれを解説します。
しかしながら、なんといってもこの 『群れる』って言葉、なぜかいい感じがしないですよね。
トイレも一緒に行く女子グループとか、会社や組織の面倒な派閥しがらみとか。
だいたい、「おまえいつも群れてんなぁ」なんて言われたら、軽くディスられている気すらします。
弱いもの同士が集まって安心感や力を成していく、そんなイメージと言ったところでしょうか。
でもですね、
群れというのは本来、人が秩序を守り、力を合わせて生きやすくするために養われている本能ですので、全く悪いことではないのですよ。
多くの生き物に見られる基本的な生存戦略です。そういえば動物最強説のゾウやカバも群れの生き物ですね。
『群れ』は生きるために養われているのですから当然、利点もいっぱいあるんです。
群れの仲間には強い愛情を持ち、手を取り合って協力し、みんなが生きやすいように互いに守り合います。
災害や有事のときに、特に深まる『絆』なんてまさにそれです。
飲食店でいうなら、例えば、近隣の飲食店。
同業同士は本来ならライバルとなりますが、お客様や業者さんを紹介してくれたり、有益な情報がもらえたり、困った時に助けてくれたりします。
しかしその愛情は、厄介な側面も常に持ち合わせています。
ここが問題なんです。
それは、はみだし者、みんなと違う者に対しては、攻撃や制裁の対象に発展してしまうこと。
群れの中ではそんな “みんなと違う者” を排除していかなければ、群れの秩序や安全性が脅かされるからです。
イジメやSNS等の炎上はまさにこの性質から起こる現象ですね。
それは相手が正しい正しくないに関わらず、“群れの総意にそぐわない者” ということです。
なんだか醜さこそ垣間見えますが、しかし誰もが多かれ少なかれ持っている性質です。
移民の少ない島国の民族である日本人は、特に強い性質だと言われています。
そしてたまに、
『自分は群れるのが嫌いだ』『あいつは一匹狼だ』みたいなこと言う人もいますけど、この社会の中でどんな群れにも属さず完全孤高の人間なんてそうそういるものではありません。友人や同僚などの極小な群れに属さないという人くらいならいるのでしょうが。
一匹狼なんて一見カッコ良い響きでもありますが、生半可な精神力では、何にも属さず生きていくことは困難です。(少なくとも私は本物を見たことありません)
直近でいえばコロナ禍においてはかなり顕著に表れたのではないでしょうか。
著名人が「みんなで乗り越えよう!」と声をあげれば多くの人が賛同し励まし合いました。
医療従事者にエールを送り、ステイホームを乗り切る知恵や感染に関する情報を提供しあったり。
まさに群れならではの協力の精神です。
しかし、多くの人が感染拡大防止に取り組む中、マスクをしていない人や遊びにいく人、また、営業しているお店などは、非難や誹謗中傷を受けたりSNSで晒されたりなど、攻撃や制裁の対象となりました。自粛警察、他県ナンバー狩りなんていうのもありましたよね。
私の周りでもありましたよ。営業していて度々警察に通報された飲食店、その界隈の商業者や住民などから嫌がらせを受けた飲食店も。
そういう人間たちで営まれている社会の中に私たちはいて、飲食店はそういう人間たちを直に相手にする業種なので、この群れの習性はお店が生き抜くためにも、大きなポイントになるとも言えるのです。
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「敵」じゃない付き合い方もアリ
飲食店って、基本的には食事や娯楽の空間をお客様に提供するのが主な仕事ですが、前述までの人間の群れの性質というものわかれば、近隣商業や地域住民との交流、協力も大事なんだということは理解してもらえると思います。
飲食店を経営される方には、それなりの社交性を持ち合わせている方も多いと思います。
積極的にいろんなところに顔を出したり、人との交流を図ったりできればそれに越したことはないのですが、中には人見知りだったり、人付き合いが面倒なタイプの人もいますよね。でもそこはそんなに大きな問題ではないと思います。
というのは、
群れは、はみだし者を排除したがるので、簡単に言っちゃえば “はみ出さなければ良い” ということです。ようするに『みんなの敵ではない』というスタンスが大前提です。
なにも、仲間たちにイイ顔して歩調を合わせてついていけ!ということではないんですよ。いや、それが得意な方ならそれ自体問題ないのですが。
逆を言えば、どんなに社交的な人であっても、逸脱した性質の持ち主では警戒されかねないわけです。
具体的な例としては、自治会や商工会に加入するのもアリだし、地域の見守りや清掃、まちづくり事業など参加したり、食材や飲料の仕入れも地元商店を利用したり、SNSでのネットワークなんかもそうですね。
自分の要領でできる交流を心からおすすめします。
商売は“人ありき”ですからね。
ちょっと余談ですが、
以前見かけた、とある飲食店経営者さんのSNS投稿。
自身のお店が加入している商店街への“寄付”について、
『寄付は義務じゃないし使途がよくわからないからスルーしていたら、自分のところにだけ地域開催の催事への招致が来なかった。後になり自分以外の商業者はみんな寄付していたことを知り、少しでも寄付するべきだったのかとモヤモヤしている』
…という内容でした。
私はこの投稿を見たときに『みんなやっていることを1人だけやらない』という事への群れの反応がよく表れた事案だと心から思いました。
もちろん、突き詰めれば『寄付じゃなくて会費にすべき』『寄付は任意なんだから抗議すべき』という議論は尽きないのですが、理論だけで片付けられないその群れならではの慣習や暗黙ルールみたいなものもあるわけです。
なので、どうすれば良かったのか?の答えは、安易に出すことはできませんが、
そこに馴染むのもアリだし、異議を唱えて群れの改革を試みるのもアリ、その人の精神力や生き方が自ずと答えを導くのだと考えます。
さて、
ここまで書いて、最後にちゃんと補足しておかなければならないのは、
先ほど挙げた「敵」「はみ出し者」は決して「悪い人ということではない」ってことです。
そもそも個性なので善悪や優劣を決めるものではないんですね。
そういう人たちの生き方があるということです。
多様な時代ですから、群れの在り方も少しずつ形が変わっていく可能性はあるでしょう。
しかし群れの性質自体がなくなることはおそらくないでしょうから、本能で群れる生き物の社会に私たちは死ぬまでいるということを頭に置いておき、地域とは上手にお付き合いしていって欲しいなと思います。
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