悪用厳禁!「お客様を操る」飲食店経営における「ナッジ理論」の活用法

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ナッジ理論とは、命令や強制的に人を動かすのではなく、人が自然とそうするようにそっと仕向ける…という、行動科学から生まれた理論です。そもそもナッジという言葉には「肘でツンツンとつついて促す」という意味があります。

具体的にどんなふうに活用されているのか、まず、私たちのとても身近にある例で説明します。

コンビニやスーパーのトイレにある「いつもきれいに使ってくれてありがとうございます」という貼り紙ありますよね。あれがそうです。
「トイレを汚すな」という注意書きより、「あなたがキレイに使ってくれて助かる」と感謝の言葉を添えて使う人が自らキレイにってくれるよう導きをする、というものです。

今回は、このナッジ理論を飲食店においての活用方法として解説していきます。

まず、世の中で使われているナッジ理論の活用例を紹介し、それを飲食店においてどんなふうに活用できるかお話していきます。

ナッジ理論を用いた事例

ナッジ理論が用いられた行動の導き、その事例を紹介します。

夢の国
ディズニーランドは清掃を徹底的に遂行、塗料の剥がれなどもすぐに修復します。キャストの接客、細部のパフォーマンスも驚くほどのクオリティで、ときめきなど高揚感が溢れます。そうやって日常から飛び出したような夢の国を作り上げ「キレイに使うべき場所」「夢の国を壊してはいけない」という秩序意識が高められているのです。

DJポリス
サッカーW杯出場に盛り上がるサポーターたちが押し寄せた渋谷スクランブル交差点。混雑と興奮で事故などが起こらないよう警備にあたる警察官が「サポーターは12番目の選手です!チームワークでゆっくり進みましょう!」「怖い顔をしているお巡りさんも心の中では皆さんと一緒に出場を喜んでいます!」と一体感を演出し、みんなが協力してルールを守るよう心に呼びかけ見事に治めました。
その後も大きなイベントなどでは群集の心に呼びかけるアナウンスが警備にあたる警察官によって度々行われるようになりました。

喋るゴミ箱
ゴミのポイ捨てに悩んでいた観光地の自治体が、喋るゴミ箱を設置。ゴミを捨てるたびに「ありがとう!」「あなたのおかげで街がきれい!」など複数の感謝の言葉が流れるのです。思わず捨てたくなる仕組みと、感謝の言葉を言われることによってその後もポイ捨てをしない意識が芽生えるわけですね。
海外ではタバコの吸殻を捨てる灰皿に「次の大統領は誰がなると思う?」などというお題を設定し、複数の捨て口に候補者の名前を並べ、吸殻によって投票するという遊び心あるシステムにしたところ、吸殻のポイ捨てが激減したという事例があります。

●税金の納付率UP
こちらも海外の話しですが、税金の支払い率を上げるために払い込み用紙とともに「あなたのお住まいの地域ではほとんどの人が期限内に納付しています」という文言を添えたところ、期限内の納付率がUPしました。「みんなそうしてるから…」「自分一人がやらないわけには…」という人間の社会性、集団性を上手く刺激した方法です。

こんなふうに、「汚すな!」「乱すな!」「払え!」というような注意や命令をせずとも、気付きを与え自然とそう行動するように促す方法、それがナッジです。


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飲食店でのナッジ理論の活用法

そんなナッジを飲食店にどう活用できるか?いくつか紹介します。

トイレを汚さないよう使ってもらう
実はコレ、他の記事でもおすすめしているのですが、「的に狙いを定める」という人の習性を利用した、尿の飛び散り防止シールです。便器内に貼り、そこに向けて用を足してもらうとシールの色が変化するという、遊び心もくすぐるアイテムです。


矢印で気付きと導き
今は、手の消毒のための店頭などに消毒液を置いているお店が多いですが、中には消毒せず素通りしてしまうお客様もわりといるんですよね。
口頭でいちいちお願いしなくても消毒してもらえるよう考えられたのが、消毒設備のある場所に向かって矢印を表示しておく、という方法です。床などに目立つように矢印を表示するんです。そうすると入店する際、なんとなく矢印に導かれるようにまず消毒設備の場所に向かい、消毒をしてくれる確立が上がるんです。人は目印になるものに目が行く性質がありますから、なにか注目してもらいたいものに矢印などを置くと、それが無いものよりは注目してもらいやすくなります。

アンケートの回答率UP
用紙やSNSなどでアンケートを実施しているお店もよくありますが、なかなか参考になるほど集まらなかったりお悩みのお店もあるかと思います。お客様からすると数問程度の質問でも意外と面倒くさいものなんですよね。
そこで「多くの方にご回答頂いております!」のような言葉を添えると、回答率が上がると言われています。
前述の税金の納付率の実施例と同じですね。「多くの方が」「たくさんの方に」などと言われると、みんなやっているなら…とそこに沿う気持ちが出てくるんです。

売りたいメニュー
「人気No.1メニュー」「店長おすすめ」のような表示を用いて購買意欲を高める比較的ポピュラーな手法ではありますが、これもナッジ理論に沿った販売促進の手法です。
ざっくりと「おすすめです」と書くよりは、
「冬しか味わえない逸品」「ハマる人続出!」「通常1280円→今だけ980円!」のように、限定的、または具体的に人気度がわかる文言だとよりそそられます


お客様が思わず頼みたくなるメニュー表についての記事はこちら
飲食店必見!売れるメニュー表の作り方のコツ5選。

あの常連さん来なくなったなぁ。食事するお客さんたち


ちなみに私がよくやる手法も少し紹介しますね。
うちのお店はカウンター席に付け台(カウンター席と厨房を隔てる少し高くなっているところ)があるんですけど、食べ終わった食器をそこに上げてもらったら「お皿、ありがとうございます!」「助かります!」と言いながら下げるんですよ。そうすると、そのあとも空いたお皿からまめに上げてくれたり、周りの人も同じようにしてくれるので、バッシングの手間が少し省けるんです。
で、もっと良いのが、お皿をこまめに片付けると、テーブルの食べこぼしなどにも気付きやすくなるようで、ティッシュなどで拭いたりとキレイに使ってくれたりするんですよ。

そして、もう一つ。
知人の飲食店なのですが、店舗に隣接する場所に空き缶や家庭ごみの不法投棄に悩まされていたお店がありました。
そこで「ここにゴミを捨てる人の写真を募集しています!」と貼り紙をしたんです。そしたら…
もう想像できますよね。不法投棄、かなり減ったそうです。

ナッジ理論の注意点

言い方を変えると、お客様を操るような側面もあるので、注意も必要です。

悪用をしない
先ほどの「通常1280円→今だけ980円!」という表示を二重価格表示と言うのですが、当然ながら適正価格でなければいけません。
実態のない定価(実際よりも高い虚偽の定価)を表示し、大幅に安くなっているよう見せかける方法は詐欺ですので絶対にやってはいけません

●はっきり言うべきこともある
迷惑行為や、お店のシステムの案内など、はっきり明確にお願いした方が伝わりやすい場合もあります。
例えば、お客様によるナンパ行為に頭を抱える居酒屋やバーがあったとしましょう。
ナンパ行為は他のピンポイントのお客様への迷惑行為になるので、お席を変えたり、直接注意するなどの対応が必要な場合があります。お酒が入って理性が欠けているお客様に「肘でツンツンとそっと促す」ようなお願いは響きにくいものです。
「○○禁止」「○○はお止めください」などはっきりとした簡潔な文言のほうが、啓発や抑止力には有効な場合も多々あります

慣れがくる
これは仕方のないことではありますが、やはり慣れは来るものです。
また、前述の「ここにゴミを捨てる人の写真を募集」のような貼り紙も、破れや汚れなどで古い貼り紙のように見えてしまうと効果が薄れてしまいます。
言葉やデザイン、やり方などにいろいろと変化をつけて慣れさせないよう工夫していきましょう。


ちなみにポイントは、
まどろっこしくなく簡潔に明示すること、です。

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いかがでしたでしょうか?強制せず、人をそっと後押しするこの方法。
お客様にこんなふうにしてもらいたい…
こうしてもらえると助かる…
そんなことがありましたら、まずこのナッジの理論から考えてみてはいかがでしょうか?

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