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『推さずに選択させる販売テクニック』推されると拒みたくなる心理を利用した誘導法。飲食店集客方法

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営業トーク

前回、教え魔についての記事で、
人から何か薦められると逆に魅力を感じなくなったり反発したくなる、という心理作用について少し触れました。(その記事はこちら→ 質問1つでうざい教え魔を撃退。教え魔の心理と教えが相手に響かない理由とは?飲食店版)
ざっくり言うと、教え魔はあれやこれやと一生懸命教えてくるけど、そうするほど人は聞きたくなくなり非常に不毛ですよ、というお話でした。

これは心理的リアクタンスと呼ばれる心理作用によるものです。

こんなことありませんか?

ゴリ推しされると興味がなくなる…
障害や敵が多いほど乗り越えようとする気持ちが高まる…
ダメだと言われると逆にしたくなる…

今回はこの心理的リアクタンスという性質を飲食店の営業に上手に活かしていきましょう、というお話です。

私は日頃、飲食店経営についてあれこれ綴っておりますが、今回もまた飲食店関係者でなくても参考にして頂ける内容になっておりますので、ご興味がありましたら最後までご覧ください。

まずは心理的リアクタンスという心の性質を知ろう

心理的リアクタンスとはどういうものか簡単に知っておきましょう。
リアクタンスは抵抗、反発を意味します。
厳密に言うと、人が自由を制限・剥奪・侵害されたときに、それに対して抵抗や反発をしようとする性質のことです。

例えば、
「これ絶対ハマるから見てみて!」と本やDVDを渡されると見たくなったり、
「ライバルが多いから無理じゃない?」と言われると余計やる気が沸いたり、
「熱湯風呂の前では押すなよ!」と止められると押したくなったり。

夫婦によくあるこれなんか、まさに心理的リアクタンスによるやりとりです。
「ねえ片付けてよ!」
「あとでやるよ」
「もういいわ!私がやるから!」
「わかったよ、片付けるよ」
「私がやるからいいわよ!」
「俺が今やるって言ってんだろ!」

最初は「片付けて!」を拒否して、その後「片付けなくていい!」をまた拒否するという。

このように、他者や環境などによって自分の選択的自由が取り上げられるとそれに反発したくなる、自分で決めたい、という心理から起こるものです。

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行きたくなったお店と、行きたくなくなったお店の話

実はこの記事を書こうと思ったのには、最近、私自身が「これぞ心理的リアクタンスだ」とあらためて認識した、他愛もない2つの出来事があったことがきっかけです。
急に行きたくなったお店と、急に行きたくなくなったお店の話しです。


面識程度しかなかった飲食店の料理人さんと、仕事の関係で数分ほど立ち話をする機会がありました。
別れ際に「今度お店のほうにお伺いしますね」と私が言ったんです。とはいえ表向きと言いますか、この業界にありがちな儀礼的な挨拶とでも言いましょうか。
そしたらその店長さん「そういうのはいーのいーの!(同業者同士の気遣いはいらないよの意)」と言われたんです。

その瞬間、本当に近々行こう!と決めました。


逆に、
知人の居酒屋で知り合った、開業したばかりのラーメン屋の店主さん。
知人と古い仲のようで、みんなでラーメン店のことなどで会話も弾み、せっかくの縁だしそのうち行ってみよう…くらいに思っていたのですが、
知人が
「こいつの店にどんどん行ってやってね!」
「すごい美味しいからみんなにも宣伝して!」などとゴリゴリ推してくるんです。

「もちろんです!」と返事をしつつも、前向きにそう思えなくなった自分に気付いたわけです。
ラーメン屋店主さんのせいじゃないところが申し訳ないのですが。


また、ちょっと余談なのですが、
友人たちとたまたま立ち寄ったダイニングバーで、メニューを見ながら何を頼むか悩んでいると、そこの常連さんらしき人が「ここはボロネーゼが人気だよ」と教えてくれたんです。
じゃあひとつ頼んでみようとなったのですが、注文をして待っている間、その常連さんが
「本場ボローニャの味だよ。今までいろんな店で食べたがここを超える店はない。」
などと、やたらプロモーションしてくるんですよ。
最初こそ「へぇ!楽しみ」なんて聞いていましたが、だんだん「もうわかったよ…」となり、
いざ、そのミートソースを食べてみると「うーん普通かな…苦笑」という感想で満場一致でした。

常連さんのゴリ押しに抵抗感が現れたのか、いや、本当に普通のボロネーゼだったのか、まぁそれはさておき、常連さんの熱いプロモーションは確かにちょっと受け入れがたい気持ちになっていたのは間違いないのです。

こういうこと、気付かないうちに日常的によくあることなのかもしれませんね。


これらの出来事から人の心理というものを考えると、飲食店の営業にも使えそうな術が見えてきます。
次項で解説していきます。

『推さずに選択させる』飲食店での誘導テクニック

「これがいいですよ!これに決めれば正解ですよ!」では、お客様の選択的自由を侵害しているので、反発心を沸かせてしまいがちです。

ここで、
「これの魅力はこうですよ。でも決めるのは(選ぶのは)あなたですよ」と伝えるのが重要です。

例えば、メール会員などの誘導率を上げたいとき、お客様の心理的リアクタンスから考えると

『割引クーポンがもらえるメール会員にぜひご登録ください!』
よりは、
『ただ今、メール会員に登録してくださったお客様に割引クーポン進呈しております!』

『アンケートにご協力ください』
よりは、
『あなたのご意見を聞かせてほしいです!』

と伝えた方が、なんだか受け入れやすくなる感じしませんか?

また、とにかく売りたい!食べてもらいたい!という商品がある場合、
『食べなきゃ損!』『ワインには絶対コレ!』というような決めつけ感満載な文言は控えた方が良いと言えます。
それよりも、『中毒性に注意!』とか『飲み過ぎたくない方は食べないほうがいいかも!』なんて付け加えられているほうが、なんとなくそそられますよね。ちょっとユーモアもあるし。

これは、よくSNSや動画サイトの広告などで『稼ぐことに興味のない人は見ないでください』みたいな誘惑的な文言をよく見かけると思いますが、それも同じ心理的効果を狙ったものです。

それともう一つ。
食べ方に店側のこだわりがある料理ってありますよね。
「まずはそのままで素材の味をお楽しみください」
「お塩でお召し上がりください」
というような、食べ方の半ば強要。

近年、押し付けの論争の対象になっていることからも、やはり食べ方の自由を奪われていることへの抵抗・反発を持つ人が多いとみて良いのではないでしょうか。

どうしてもそう促したいのなら、
「最初はそのままで召し上がるお客様が多いですね」と多数派の趣きとして紹介したり、
「そのままでも十分お楽しみ頂けるようにお作りしていますが、お好みでこちらのソースも…」のように、最後はお客様に選択してもらえる投げかけが理想的でしょう。


あと、たまに遭遇するこんなお店。
「最初にドリンクをご注文ください」

お客様からすれば店側の都合を強要されている感じしかしません。

そこは最初に「お飲み物は何にいたしますか?」と聞けば、多くのお客様はまず飲み物を何にするかから考えてくれます。
もちろん、中にはお水しか要らないというお客様もいますが、そういう方にこそドリンク注文制は非常に不快なシステムです。
どうしてもそうしたいなら、お店に入る前に『1ドリンク制』などドリンクの注文が必須であることを明示しとくべきです。そうすれば、ドリンクの要らないお客様はお店に入る前に選択ができるので良心的です。

お通しも同じですね。お通しに関しては以前書いた記事がありますので、よろしかったら参考になさってください。
お通しはいらないんだけど…断れる?お通し代や席料、突き出しについてお話します。


このようにおすすめしたいものがある場合はとにかく『推さないこと』を前提とします。
ある程度、その商品の魅力を発信したら『でも決めるのはあなただ』というニュアンスでしっかり伝えるのです。


選択的自由がなくなると反発したくなる心理から、飲食店の営業について考えてみましたが、少しでもお役に立てれば幸いです。

最後にこんな裏ワザの紹介で締めたいと思います。

うちのお客様(主婦)から聞いた、ご主人に余計なものを買わせない裏ワザという興味深い話。

ご主人がパソコンで何か品物を見ているときや、一緒に買い物に行ってご主人が商品を手にとって見ているとき、つかさず横から「欲しいんでしょ?買いなよ」って言うんですって。
そうするとご主人は「いや、どんなものか見てただけ」と言ってすぐ商品を置くらしく、余計なものを買わなくて済む防御策になるのだと。笑


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