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『お通しいらないんだけど断れる?』飲食店経営者が解説!突き出し、席料、チャージなど謎の料金システム

お通しはいらないか?いくらとサーモンクリームチーズのお通し 料理人の茶話

今回は、お通しは拒否ができるのか?お通しとチャージは別物なのか?そもそもなぜお通しがあるのか?などなど、一方的に提供される『お通し』について解説していこうと思います。

また、突き出し、席料、チャームなど、お通しの親戚のような料金システムについても詳しく解説していきます。

お通しだけじゃない。席料、チャージ、チャーム、サービス料…謎の料金

近年、度々話題となるお通しの不要論争。

しかしお通しがなくても席に座っただけで自動的に発生する料金があるのをご存知ですか?
まずその解説をします。

お通し(突き出し) 居酒屋、料理屋、スナックなどで注文の有無に関わらず有料で出される料理。

席料 基本的には席の確保の為だけの料金。お通しのような一品が伴わなくても料金が発生する。

チャージ 席料を横文字にしたもの。この名称が一番ポピュラーに使われていると思います。

チャーム スナックやキャバクラなどで、注文の有無に関わらず有料で出されるチョコやナッツなどの軽いつまみ。グループ客の場合はひと盛りになっていることもあり、役割はお通しと同じです。

そしてややこしいことに、これらには明確な定義がないんですね。
なので一般的認識で解説しています。

飲食店側もこの名称と意味合いを混同しているお店も少なくないと思います。

これらのシステムを設定しているお店は、どれかひとつを使っていることが大半なのですが、たまにお通し代とチャージ料金の両方を請求するお店があるとも聞きます。

最もポピュラーなのは、チャージという名目でお通しをつけて料金を頂戴しているパターンでしょう。
「お席確保に料金を頂くのでお礼に気持ちばかりのお料理を…」という意味合いのものです。

相場は居酒屋・料理屋などで300~500円くらいが多いですね。
バーのようにお酒がメインでお料理の少ないお店は、チャージ料金500~1000円(お通しなし)、というお店も結構あります。

さらには、お通しなどの意味合いとは異なる、サービス料や深夜料なるものもあります。

サービス料とは名の通り、奉仕料です。
会計に上乗せされることが多く、料金設定はお店によって違いますが会計の10%が相場のようです。消費税とは別物です。
これと似たものでファミレスなどによく見られるのが深夜料。深夜の限定された時間に飲食を利用した際に会計に付帯するものですね。
そして私はあまり出会ったことがないのですが、一部飲食店では週末料祝日料なるものを設定しているお店もあるようです。

『お通しはいらないんだけど…』断ることはできるか?

お通しは拒否できるものなのかどうなのか、法的の見解で突き詰めて言えばお通し拒否はできます

ただお通しは、慣習 = 当たり前のシステム、と認識をしている飲食店もまだ多くありますから「飲み屋にきたら当然だ」なんて余計な揉め事になりかねませんし、もっと言えば勝手にお通し代を請求されたから訴える!など、なかなか現実的ではありません。
逆を言えば、お通しシステム自体は悪い慣習ではなく、法にも触れていないのです

しかしお通し不要派の異議とは『同意なく勝手にだされた料理で金をとられる詐欺的感覚』です。
ですので『お客様がお通しの有無を確認してから入店』できれば、なんの問題も生じず、双方にとって理想的ですよね。

最近は店先に明示するお店、希望でお通しカットができるお店、お通し自体をやめるお店も増えてきました。この傾向はさらに進むと思います。
ちなみにうちのお店もお席料(お通し1品付き)を設定させて頂いており、店頭と店内のメニュー板にも明示しております。

しかしまだまだ『暗黙の了解』的な認識のお店が多いのも確かですので、確固たるお通し拒否の意思があるのなら、席に着く前までに確認したほうがいいですね。どなたも揉めたくてお店に入るわけではないでしょうから。

お通し以外にも、突き出しや先付など何が違うのか?

ひとまず、突き出しですが、これはもともとの意味合いや語源がちがうだけで、現在ではお通しとほぼ同じものと考えて問題ありません。

お通しは主に関東で使われている言葉で、お客様が席について最初の注文をしたとき『その注文ちゃんと通しましたよという意味』で出されていた小鉢などの料理。

突き出しは主に関西で、もともとは前菜の扱いであったため、関東のお通しよりは品数が何品かあったり内容も少し豪華なものでした。
有無も言わさず突き出すように出したから突き出しと呼ばれるようになったと言われますが諸説はあるようです。

そして、先付(さきづけ)は、これはコース料理の前菜なので、現在のお通しや突き出しとは別物です。

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お酒を飲まない人にもお通しはでるの?

お通しは居酒屋などでは『注文した料理が来るまでのつなぎのおつまみ』という役割で考えているお店も多いので、お酒に合うような料理が大半です。

となるとお酒を飲まないお客様には必要ないのでは、とも思われますが、席料を兼ねている点から考えれば、お酒を飲む飲まないに関わらず提供するお店のほうが多いと思います。
ただお店各々、ソフトドリンクのお客様には出さない、お子さんには出さないなど、独自ルールを設けているところはあります。
ちなみにうちもお席料として一律頂戴しています。もちろん中にはドリンクなしの食事だけ、というお客様も時々いますが、お席料を頂戴する旨をお伝えしてお通しをお出しします。

お通しっておかわりできるの?

これもお店によってかなり異なりますが、私の体感上では対応してくれるお店のほうが多いと思います。
基本的には有料です。
お通しはその日のお客様の来店数を予測して用意しているので、数に制限があったりすると断られることもあるでしょう。
ちなみにうちはほぼ対応します。おかわりって作り手には結構嬉しいものですしね。

【最後に】結局のところお通しって本当に必要なの?

お通しが必要なものなのかどうか、これは店側とお客様側で見解が変わることろではあります。

飲食店経営者として店側の正直な見解を言いますと、特にお酒の提供がメインのお店では稼動の回転数が見込めない場合が多々あるのでお通しは貴重な収入源となります。
そして、お酒を飲む人はおつまみと一緒に楽しむ人が多いものです。特に飲みはじめの場合はお酒によって胃が刺激され食欲が増すので、お通しは料理を提供するまでのつなぎとして重宝するという側面もあります。

ただ、私も自分のお店でお通しを採用しておきながらも、これから開業などでお通しの採用を迷っている人がもしいたら、
お通しは無い方が無難」と言うかもしれませんね。

理由は、有ることに賛否両論で、無いことに批判がない、となれば無いほうが単純にトラブルの元がひとつ減るからです。
「あの店はお通しがないから行かない!」というお客様はそういないと思いますので。

とはいえ、お通しに楽しみを見出しているお客様がいるのもまた事実です。
賛否両論の “賛” のほうの方たちです。
ちなみに私自身も飲食店の経営をする前から、お通しはそのお店での楽しみ方のひとつとしていたタイプです。

うちの話をすると、店頭に明示してあるのでお通しに理解あるお客様たちが来られるわけです。
お席料とはいえ、私も少なからず『お客様が選べない料理』という認識を持っているので、「お、今日はなにかな?」って楽しみに覗き込んでもらえるようなイメージをしながら作っています。
この魚はなに?これどうやって作ってるの?もうそんな季節か。など、その日のお通しについてひとつ会話が沸く、飲みはじめのささやかな高揚感を誘う、そんな小粋な演出もしてくれるアイテムでもあると思っています。


お通しは、決して悪者ではないのでモラルを大事にしつつ、ぜひ残っていってほしいな…と個人的に切実に思う慣習である…そんなところで今回は締めくくろうと思います。


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料理人の茶話
ワシヲ タカコ

筆者 ワシヲ タカコ
食生活アドバイザー 薬膳食育師 メンタルケア心理士
飲食店経営はじめ多種多様な食のお仕事をしています。
そのため更新は不定期、コメント欄もありませんがご質問等はお問い合わせよりお気軽にどうぞ。
ここでは顧客心理をベースに実践してきた接客・集客・経営ノウハウを現場目線で紹介しています。

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