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冷凍食品を使う飲食店は腕で勝負ができない?飲食店の冷凍食品提供の批判とその裏には…

飲食店で起きたお客様からの怖いクレーム。「恐れが味に出ている」クレームエピソード。お惣菜を購入後… 集客術 関連記事

飲食店が、プロの料理人が、冷凍食品を使って金取るってどうなのよ?
…という一定の批判があります。

が、長いこと飲食店を経営をしてきた私としては、結論から言えば冷凍食品、全然アリだと思います。むしろそれは、お客様の心理に沿っているとも言えるからです。

ようするに、お客様が求めるからなんですね。

ばかな!冷凍食品を求めてわざわざお店に行っていると言うの!?…って今、思いましたね?

今回はそこを深堀っていきます。


さて、
冷凍食品と言ってもいろいろありますよね。
加熱するだけで一品できてしまう冷凍調理品、野菜や肉や魚介などの冷凍素材、解凍するだけのスイーツやなどもあります。

今は技術も格段と上がり、料理人ですら騙すことができるクオリティの冷凍食品もたくさんあります。

もっと言えば冷凍食品に限らず、チルド食品、レトルト食品、タレやドレッシングなどの調味料など、腕がなかろうが手間をかけずに『それなりの味』が可能な、既製の食品もたくさんあります。

もちろん飲食店ともなれば、さすがにそればっかじゃなぁ…とは思います。
でも実際、そればっかだなぁと感じるお店も意外とあるんですけどね。

そんな冷凍食品をはじめとする既製品のメニューの是非を問い
お客様と経営者の両方の視点から解説していこうと思います。

飲食店の集客方法「酔ったときに食べたくなる食べ物」の巻。飲食店のメニュー作りの参考に。ソウルフード

お客様は店側が思うほど味の良さばかり求めていない

飲食店なら、料理人なら、その腕で勝負しろ、それも確かにそうっちゃそうです。

その『味勝負』みたいな概念、実際に口コミサイトなんかでも、味についての評価が多くを占めることからもよく表れていると思います。

しかし面白いことに、現実的には飲食店にその『料理の腕』以外を求めているお客様が多いのも事実です。
なんなら『料理の腕』以外に良いものがあると、料理が何倍も美味しく感じることすらあると考えます。

以前にこんな記事も書いていますのでよろしかったらご覧ください。侮るな!「理にかなった笑顔の魔法」接客態度で味まで悪くなるお客様の心理。飲食店の接客に大切なこと。

これはお客様のことを見ているとよくわかるんです。
特にリピートを決めるのは、味だけじゃない、むしろ味よりも大きな要素がある、と思わされることがしばしばあります。

では『料理の腕』以外というのは一体何のことかと言うと、
例えば、早さ、値段、コスパ、安全性などの実質的な要素から、
居心地の良さ、パフォーマンス、ラグジュアリー、周りのお客さんの印象、使い勝手の良さ、気分にあった料理があるか、そんな感覚的な要素まであります。

味が良いに越したことはないのですが、お客様が飲食店に求める要素は他にもいろいろとあるんです。

飲食店経営者の私がこんな夢のないこと言うのもちょっとアレですけど、『美味しければ繁盛する』っていうのは今はもう違うかな、と。

やはりそれは飲食業界が飽和状態にあり、美味しいだけのお店ならいくらでも見つかるからです。
他になにか…が欲しいわけです。
このお店じゃないとこういう楽しみや感動が得られない、というような他店との差別化

「それが冷凍食品です!」
…なんてバカなことは言いません。

ただ、全て手作り、オリジナリティ、高級、希少、洗練された料理が、お客様の好む全てではない、と言うことです。

メニューの選択肢を増やす為、
安定の味、親しみある味、
時間のかからない料理、
安価、コスパの良い料理、
という、そんな機能的バイプレイヤーとなる冷凍食品を使わない手はない、ということです。

お客様のなんとなくかゆいところ手が届く、そんなアイテムの一つということです。

人って結構保守的で、酔った時にそれがよく出てくる、という記事も書いています。こちらもよろしければご覧ください。
飲食店メニュー「酔ったときに食べたくなる食べ物」の巻。飲食店のメニュー作り、集客の参考に。

お客様の反応を見ながら手間をかけるところと省くところを分ける

冷凍食品が有効とはいえ、もちろん、お店の業態や趣きにもよります。
ししおどしがカポーンと鳴る個室料亭で冷凍コロッケは出てこないし、特別な日にぴったりなフレンチレストランでポテトフライも出てきません。

でも、前菜やデザートの盛り合わせの中に、解凍しただけの煮こごりやムースなどの既製品がひょっこり並んでいても、お客様は「冷凍食品使いやがって!」とはおそらく気付かないし、逆に、彩りや品数の豊富さが際立って喜ばれると思うんですよ。

お店のイメージによってどんな食品をどんなふうに扱うかが肝となってきます。


冷凍食品の話ではないのですが、以前テレビで紹介された人気の居酒屋で、お客様たちがこぞって注文する人気の厚焼き玉子が、地元市場にある玉子焼き店から仕入れている商品であると店主が言っていました。

お客様はみんなそれをわかってて注文しています。
市場に行かなくてもお酒を飲みながらその厚焼き玉子を適量で味わうことができる。
手作りの料理だけにとらわれず、上手にお客様のニーズに沿っていると言えますね。

また、例えば焼き鳥屋さんに行くとします。
焼き鳥が食べたいから来たわけですけど何本か食べたらだいたい満足してくるじゃないですか。
そうすると、やっぱり違うテイストを求めてしまう…そんなお客様は結構いるのです。
そんな時、その違うテイストの選択肢がないと、帰るか他のお店に移動するかが選択肢に入ってきてしまうのです。

お酒を売る商売なので、ぶっちゃけ利益率の良いアルコールドリンクをたくさん飲んでいってもらえたほうがいいわけです。
そこで冷凍食品などでメニューを豊富に用意しておくことが戦略のひとつでもあり、お客様からも魅力のひとつにもなるのです。

自分のお店に来るお客様が何を求めているのかよく観察し、それに応えるためのささやかなアイテムではありますが、冷凍食品の活用は有効です。

手間をかけるところ、手間を省くところ、お客様の反応を見ながら効率的にやりくりできるのも経営者の手腕

といったところだと思います。



私は日頃、顧客心理から飲食店の経営について考えています。
他にもお役に立てる記事をいろいろ揃えておりますのでよろしかったら覗いてみてください。

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