料理人は本当に優れた味覚を持っている?味を知っている料理人とは?

食生活アドバイザー。独学取得から仕事での実用性について。仕事に有効な資格か? 料理人の茶話


プロの料理人。
そう聞くと、味にうるさい、味がわかる、舌が肥えている、なんてイメージが浮かぶ人も多いと思います。
でも実際はどうなんでしょうね。

「これはこーいうもんだ!」などと、独自のこだわりばかり主張してくる料理人がいたら、もしかするとその料理人はちょっと…(汗)

同業者切りみたいになってしまうと恐れ多いのですが、料理人は本当に優れた味覚を持っているのか、そこに踏み込んでいこうと思います。

味の感じ方は100人いれば100通りある

飲食店経営者にある「お客様の立場になって考える」の間違い。集客方法のヒントは自分の目の位置。イメージしよう。

まず最初に、人の味の感じ方について説明させてください。

人って、同じものを食べていても、100人いれば100通りの味の感じ方があります。

では、その “ 味の感じ方の差 ” とは、何によるものなのか?ざっと言いますと、
遺伝子、体質、年齢、性別、環境、経験、体調、メンタル、気温、湿度、思い出…
などです。

食べ物そのものにおいては、味の他にも、色彩、香り、食感、温度、油脂加減などの要素がありますね。

これら総合的に “ 同じ条件の人なんて、そうそういるわけない ” ことが分かると思います。
幸福感、不快感、無感動、このバランスも100人いれば100通りなのです。

そんな中で、多くの人が、幸福感や快感、安心感などを得た食べ物が「これは美味しいもの」として認識が高まり、一般的感覚になっていくわけです。

多くの人が美味しいと賞賛するものでもそう感じない人がいる、そしてその逆があることもまた至極当然なこと。
総じてこれを「好み」と私は呼びます。

「行列店、希少な高級品、 …実際に食べてみたら、なんかイマイチ」
「本場の麻婆豆腐よりも近所のラーメン屋の麻婆豆腐の方が美味しい」
「お魚に合わせるなら濃厚な赤ワインのほうが好き」
「刺身にはマヨぽん酢」
いわゆる “ グルメ ” の概念からすれば「えー!?」と否定されてしまいそうなそんな少数派に、自分がなったことありませんか?

「これ絶対うまいから!」と差し出されたものが、良くも悪くもない味だと、とりあえず美味しい派に加勢したり。

こんなこともありますよ。お祭りにある昔ながらのカキ氷は、イチゴ、メロン、レモンなどと表記されつつ、実はシロップの味の原料はほぼ同じなのですが、目隠しなど色が確認できないと何味かわからなくなってしまったり…それどころかブドウ味やオレンジ味だと感じる人もいたり。

そして、そもそも味覚自体が解明の発展途上、まだまだ謎めいている感覚機関。
少し前までは、舌先で甘味を、舌の奥で苦味をと、基本味を感じ取る機能が舌の位置によって異なるというのが通説でしたが、これが、実は舌全体であると分かってきたのも近年のことです。

こんなふうに味覚とは、数学のテストのように理解力を点数として明確化できるものではないので、少数派は不正解…
極少数派は舌がおかしい…
この美味しさがわからないなんてまだまだ…
なんて話は、もう私からすれば “ たわごと ” です。

ちょっと長くなりましたが、これを踏まえて料理人の味覚に踏み込んでいきます。

料理人は基本味の判別には長けているだろうけど…

前述のとおり、みんなが味の感じ方がちがうとなれば、
「美味しい美味しくない」「合う合わない」には最終的な正解はない、ということです。
いや、逆を言えば、その人が美味しいと思ったものが「美味しい」の正解なわけです。

ただ、味覚において「正解を見出せるもの」もあります。
甘味、塩味、苦味、酸味、うま味、この5つ基本味の判別する食味検査です。

以前の記事でも触れましたが、食品会社等ではこの食味検査( 人間が感じる限界濃度の風味を判別する検査 )を実施しているところがあります。

この検査で、普通の人では判別の難しい、わずかな5つの基本味を感知できる味覚の持ち主を発掘し、品質管理や商品開発などの分野でその能力が生かされていきます。

この基本味を判別する能力は、先天的な素質もありますが、食の経験を重ねたり訓練などによっても、向上するものとされています。

となると、ある程度長くやっている料理人なら調理・食味においての経験値も高いはずですから、「基本味の判別はそれなりに長けている方が多い」とも言えます。

基本味の判別能力が高ければ、料理に対するあらゆる場面で応用が利くので、料理人としては大変望ましい能力です。


しかし、間違えてはいけないのは、
「わずかな基本味を判別ができる」のと「美味しい美味しくない合う合わないをジャッジする」のは、全く別物ということです。
とくに料理人は!
ここがポイントなんです。

甘味、塩味、苦味、酸味、うま味が判別できても美味しさはそのバランスによってもたらされます。そして、前述のとおり、各々の複合的な要素もプラスされるため、好ましいバランスは人によって千差万別。

料理人はその点をしっかり理解しているべき存在なんです。
自分の味覚での解析は自然にできるけど、他人の味覚の解析など容易なわけがないんです。

味を理解している料理人とそうじゃない料理人の違い

〔後編〕料理がうまくならない…料理上手になるためのポイントをプロが教えます〔後編〕料理のコツ

人々の味覚というものを理解していない料理人は、自分の味覚を答えとします。
「あそこの餃子は美味しくない」
「その調理法では素材の味を殺すよ」
「料理には○○産のオリーブオイルを使わないと!」
「日本酒にこのツマミは合わないですね」

固定概念が強くこだわりの主張が多いほど、むしろ味の受け入れが幅が狭い人なんじゃないかと思います。

もしくは、
ただ単に語彙力に欠けているか、
ただ単に料理人のプライドを誇示したい、自己主張の強いタイプか。

なんにしても、本来料理人は、自分の味覚の主張より、人々のこういった味覚を考え続けなければいけない立場、ということをわかっていないんです。


では逆に、人々の味覚というものを理解している料理人は、
「あの店の餃子は、八角が効いてるから本場の中華が好きな人にはおすすめ」
「こういう調理法だと、うま味成分が増えるんですよ」
「バージンオイルは香りがあるから、気になる人はピュアオイルから試しては?」
「このツマミなら、私はウィスキーも欲しくなる」
など、好みが千差万別であることがベースの考え方、言い方をするものだと思います。

こういう料理人たちは、
大きな傾向として人々の好みを捕らえることも得意、
人々に潜んでいる意外な好みを察知するのも得意、
すなわち、多くの人に美味しいと思ってもらえる塩梅の料理を作ることができます。

まとめ

食の経験が多ければ多いほど、5つの基本味の判別ができる人は多いと言えます。

しかし、料理人こそ人々の味覚を理解しないといけない職業なわけですから、人々の好みという果てしないジャンルということを理解している人が、味がわかる料理人と言って良いと思います。


最後に余談を持ってきますが、
昔、ダウンタウンの番組で「アカン飯」を紹介していたのを覚えている方もいらっしゃるかと思います。

ドン引きされてしまいそうな自分だけの美味しい味をタレントさんたちが紹介し、みんなで試食するコーナーです。

ごく一部、紹介すると、
SHELLYさんは「いかの塩辛のパイナップル和え」
新庄剛志さんは 「フライドチキンにイチゴジャムのトッピング」
高嶋政伸さんは「いなり寿司のせラスク」
八嶋智人さんは「ココアパウダー混ぜマカロニサラダ」
海外のタレントさんは、しゃぶしゃぶをケチャップで食べたり、お茶漬けにホットミルクをかけたり…
インスタント焼きそばに高級キャビアをのせる方もいました。

「アカン飯」で検索するとたくさん出てくるので興味ある方はぜひ見てみてください。

そこには、とんでもなく果てしない食の世界がありますよ。



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