接客業のストレス…
同業者からも一番よく聞く悩みやグチは、接客における人と人との問題です。
私は飲食店経営歴10年以上ですが、接客においては今でもたまに、落ち込んだりイライラしたりしています。
だって、そりゃそうですよ。
そもそも人間のストレスの根源って「人間」であることがほとんどじゃないですか。
気心知れた家族や友達やパートナーですら、人間性の相違でストレスになるんだから、接客業という、素性の知れない人間を多く相手する仕事はなおさらですよ。
カラオケやスポーツなんかでワーッと発散できればそれに越したことはないですけどね。
今回は、そんな接客のお仕事にストレスを抱えている接客業の方へ、少しでもストレスを溜めないために、よくある接客ストレスの対処方法をまとめてみました。
そもそも、よくある接客ストレスの原因って
①理不尽・ワガママなお客様の言うことを聞かなきゃならない
②お客様と会話がうまくできない(営業がうまくできない)
③お客様に寄り添おうと思ってビジネスの判断が鈍る
こんなあたりで心が疲れてしまうのではないでしょうか?
嫌ですよねぇ。
あーいやだ。なんかいろいろ面倒くさー。会いたくなーい。と漠然と嫌な気持ちだけがグルグルしている方も多いと思います。
でもこのストレスの原因をしっかり認知していると、対処もしやすいんですよ。
ちなみに、接客業とひとことで言っても、
ファミレスやスーパーのようにある程度マニュアル化された対応がメインの接客もあれば、
話術や信頼で購買意欲を沸かせる営業、販売職もありますよね。
今回のお話は、どちらかと言うと後者のほうに向けた内容になってると思います。

step1 接客業はお客様の下に出る仕事ではないという考え
まずは、接客というお仕事が、「お客様より身分が下、ということではない」という私の持論を述べます。
お客様にとって有益な商品、情報、空間を提供する→その報酬を頂く
これ、私はいつも対等だと思っているんです。
なんか、接客業の方たちの話を聞いてると時々、
こちらが下僕のような、
媚びへつらう立場のような、
三波春夫さんのあれですよ「お客様は神様です」的な接客をしなければならないみたいな感覚の人いるんですよね。
お客様の気を損ねたら報酬を得られないし…
褒めたり持ち上げたりすればお客様は喜ぶし、みんなもやってるし…
まぁ確かにそうかもしれませんよ。でももし、これが報酬無しだったら完全に下僕ですが、ちゃんと頂くわけですからね。
対等以外なにものでもないわけです。
お客様を持ち上げたり、腰を低くするのは、ひとつのテクニックであって、主の目的ではないはずなんですよ。
おそらくその目的の軸がブレてしまっているんですよね。
そしてそこばかり意識を持っちゃうと、自信なさげな、仕事ができなさそうな人に見られかねません。自信がなさそうな人ではお客様も購買意欲が沸きません。
極端を言えば、詐欺師って、敵ながらあっぱれと感嘆するほど堂々とした態度でプレゼンするじゃないですか。もちろん詐欺師の手法を見習っちゃいけませんが、堂々としていないと買い手も気が進まないのは確かにあるのです。
接客のお仕事はあくまで、会社、店、商品など、あなた(お客様)にとって大変有益なものを提供しますよ!というプレゼンのお仕事です。
お客様を上機嫌にさせる、なんとか商品を買ってもらえるよう腰を落として手をもみもみ…が主ではなく、売りたいものの魅力を知ってもらうのが主です。
step2 接客のどこにストレスを感じるのかを知る
冒頭にも書きましたが、接客ストレスのよくある原因を3つに分けてみました。
①理不尽・ワガママなお客様の言うことを聞かなきゃならない
②お客様と会話がうまくできない(営業がうまくできない)
③お客様に寄り添おうと思ってビジネスの判断が鈍る
大きく括って、こんなところではないでしょうか?
まずは、ここをはっきりさせることが重要です。もやもやと、あーあ接客って難しいなぁ恥ずかしいなぁムカつくなぁ…なんて考えるより、自分が何に対してストレスを強く感じるのか認知できていないと、対処もできませんから。
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step3 原因を知って、できることだけを見せつける処法

会社勤めか自営か、新入社員かそこそこ権限を持った役職か、それによってもできる対応ってずいぶん違うものですから、基本は自分の立場、力で、できることだけを見せつける。
買わせたい!成績をあげたい!この野心は非常に良いのですが、力と伴わないことをすれば疲弊したり、空回りにもなりかねません。
例えば、前述の “ 原因 ” から対処法を見ていきましょう。
①理不尽・ワガママなお客様の言うことを聞かなきゃならない
これもまずは、どこまで仕事として対応できるかだけ考えてはどうでしょう。
これにストレスを抱える人は、お客様の言葉と感情を丸ごと受け止めているように思います。
クレームもそうですが、このときにお客様が言う言葉ひとつひとつを感情で受け止めず、対応策として有益な言葉だけ拾うようにするんです。
例えばお客様から、
「あっちの店は、アレとコレに、ソレも追加してくれてこの金額だった。せっかく友達にも紹介しようと思ったのに、そういうサービス精神がないと…うんぬんうんぬん」
と言われれば
「当店はアレとコレだけですが、クオリティ重視ですので、その部分でご満足頂けると思います」
というような、まぁざっくりですがこんな感じです。
お客様って、文句やワガママ言う時は、わりと感情の赴くまま言葉を出す人が多いので、いちいち受け止めず、吐かせるだけ吐かせて、有益な言葉だけ拾って仕事としてできることを考えられるようになると、いら立ちも減ってくるものですよ。
②お客様と会話がうまくできない(営業がうまくできない)
会話(コミュニケーション)によって信頼関係を得ることに拘っている人が多いように思います。
もちろんそれも大事なのですが、こちらのじょう舌で場を盛り上げようなんてするより、まずお客様に、 “自分(お客様自身)の話” をさせるほうが何倍も有効といえます。
お客様の話を深堀って、いろいろ引き出した中から仕事として有効なキーワードを拾う。
会話を盛り上げたり褒めたりするのは二の次です。
そのことについて書いた記事があるので、よかったら参考にしてみてください。
飲食店接客業の会話術。お客様が好む会話を飲食店経営者の経験からお話します。
その他に、その業界の先輩たちにアドバイスをもらうのが一番なのですが、会話術に関しては、とにかく経験を得てスキルを身につけるしかないと思います。
③お客様に寄り添おうと思ってビジネスの判断が鈍る
お客様の要望や気持を汲むあまり、成果に至らない。
お客様にとっていい人でありたいのか、もっと言えば、お客様に流される、お客様の言いなりになる、そんな状態です。
やっぱり、とにかく仕事として役に立てることだけを考えて提案しましょう。
冷たいようだけど気持ちが入りすぎると報酬に見合わない仕事ばかりする羽目になりかねず、バランスが崩れて、心がもたなくなってしまいますよ。
これ、私も経験があって、昔は「できない」と言えない性分でしたが、やっぱり薄利になったり、無理しちゃうとクオリティが下がったり、自分がつらくなったり、なにより他のお客様への贔屓差にもつながっちゃうんですよね。
なので、無理なことは無理とはっきり示しつつ、そのかわり必ず「ここまではできる」「こういう条件ならこの金額でできる」などと、できることや得意なことを代案としてしっかり明示して、「あとはご判断にお任せします」というふうにしています。
ちなみに「お客様の立場になって考える」とよく言いますけど、あれは「お客様の言うことをきく」ではないですからね。
そんな記事も書いていますのでよろしかったらご覧ください。
飲食店経営者にある「お客様の立場になって考える」の間違い。集客方法のヒントは自分の目の位置。

どうでしたか?
接客にストレスを抱えていらっしゃる同志の方、少しでも思考の切り替えができそうなら、私も嬉しいです。
ちなみにこちらの本、
無敵のメンタルを手に入れるごとく、科学的に実証されたストレス解消法が100コも紹介されている大人気の本。人それぞれに対応できるメソッドがたっぷりです。参考までに載せておきますね。