飲食店の3年生存率は50%と言われていて、2店に1店が開業3年以内に廃業される時代です。
気合十分でオープンし、徐々に勢いをつけてはいくものの、やがてだんだん失速していき、弧を描くように沈んでいく(潰れる)…という飲食店が本当に多いのが現実です。
今回はその生存率を下げる3つのバイアスというもに触れていきたいと思います。
ちなみにバイアスとは先入観、偏見、思い込み、などを指します。
「いやいや自分は思い込み気質じゃないよ」と、もし今思ったら、そんな方にこそぜひ読んでもらいたい内容になっています。
私自身、飲食店経営者ですので、他の経営者さんたちとの出会いや交流が多々ありますが、多くの方にバイアスは多かれ少なかれ見られます。私も気をつけようと思いつつもバイアスに邪魔されることがあります。
でももし、今回お話しするバイアスを3つ揃えたフルスペックな方がいたら要注意です。飲食店経営において遠くない将来、危機を迎える可能性があると考えてもらっていいと思います。
それでは、経営を揺るがす飲食店経営者が勘違いしてはいけない3つのバイアスを解説していきます。
①つい心を安定させてしまう

「今月、売り上げがいかない日が多い」
「あの常連さん、なんか今日は不機嫌だった」
なんてこと、飲食店を経営していると時々ぶち当たると思います。
そんなとき原因も一緒に推測したりすると思うのですが、その原因が他所にあると考えることがあると思います。
「急に寒くなって街に人がいない。他の店もヒマそうだ」「みんな給料前だから仕方ない」
「あの常連さん、どうせ奥さんとケンカでもしたんだろう」「あの人あまのじゃくなところがあるから」
もちろんその原因が正しい時もあるでしょう。しかし、人は心の安定を図るために、こんなふうに都合よい理由を探す傾向があります。
自分のお店に何か原因があるかもしれないけど見ないようにして他所に原因があると考えるのです。なぜなら、この場合の原因が “不可抗力” であれば、自分の責任にはならずモヤモヤソワソワといった心境に陥らずに済むからです。
しかし、心を安定させるのは悪いことではないにしても、本当の原因が潜んだままになる可能性があります。
本当は、自分のお店にお客様が寄り難くなっている何かが潜んでいるかもしれませんし、また、その常連さんはお店の対応にイライラしていたのかもしれませんよね。
これらの心の働きは、認知的不協和と言います。
自分の行動や出来事が理想的な結末に至らなかったとき、言い訳、カッコつけ、強がり、負け惜しみ、つじつま合わせ、自分に都合よく考える、などして矛盾を解消し心の安定を図ろうとする心理的な働きです。誰もが大なり小なり持っている性質です。
こちらの記事でも詳しく触れていますのでよろしかったら参考になさってください。
経営に潜む危険「認知的不協和」を例を踏まえてわかりやすく解説。解消法も紹介します。
小さな駅の真ん前のテナントでオーガニックレストランを開業した経営者さん。
開業から2年ほどで廃業されることになったのですが、その理由を
「駅前で好立地だと思ってたけど、駅利用者が少なくてお客さんが来ない」
「オーガニックは価格設定が高めになる。周囲は低所得者住居も多く外食にあまりお金が使えない人が多い」
と、廃業に至ったのは外的要因であるという主張でした。
しかし、駅利用者数も周囲の低所得者住居についても調べればすぐわかることですし、そのお店付近の人だけが集客対象というわけでもないはずです。また、稼働状況からも、商品、ターゲット、コンセプトという3つの指標の見直しもできたと思います。
これがない飲食店経営は危険!3つの指標でズレのない経営を!飲食店の集客方法
この経営者さんは、またいずれどこかでお店を開くつもりだとおっしゃっていましたが、ここに気付かない限り、再び開業されても同じことになるのでは…と考えます。
飲食店も多数出店!ネットでお店を開くならBASE
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②自分の価値観が最優先
そう、ひとことで言って主観の強い人です。
「こうすれば間違いない」「ああすれば客は喜ぶ」のような、自分の観点、価値観などがとにかく優先されてしまう経営者。ようするに客観的観測に乏しい人ですね。
経営者としての視点も大切なのですが、それより大切なのは「お客様から見えるお店」というものをイメージすることです。
物事の見え方は10人いたら10人それぞれの感じ方があります。言葉のうえではわかりますよね。
客観的に物事を見るのということも、冷静な分析するうえで大切なことであることも多くの人がわかっている…のに、自分にまつわる物事を「客観的に見る」って、実際には難しいことなんです。人であれば必ず主観が先に立ちますから。
こちらの記事に、客観的に見るというのはどういうことか詳しく解説しています。なんとなくでもイメージできると思いますのでよろしかったら参考になさってください。
高い廃業率、やばい飲食業界。開業前に知ってほしい、収益を上げる飲食店経営者たちの特徴。
ところで先日、ラーメン屋の店主と少しお話する機会がありました。
近年流行の一郎?三郎?系のラーメンを売りにしているお店で、お客様はそれなりに入っているように見えますが、オープン当時によくできていた行列や開店待ちの姿は今は全くなく、売り上げが減少していることは安易に察することができます。
店主さん、お店のラーメンに確固たる自信をお持ちなのは良いのですが、
「にんにく少なめって注文してくるお客さんいるけど、自分は少なくしないで出す。結局みんな、おいしい!やみつきになる!と言ってペロッとたいらげる。うちのラーメンはにんにくたっぷりが一番うまい。みんなもにんにくが大好きだ」
と言うのです。
もう気持ちがいいほど主観の強い店主さんでした。笑
ちなみに私はにんにくは大好きなのですがちょっと食べ過ぎると胃もたれする弱小消化器の持ち主でして、にんにく少なめでお願いしたら本当に少なめで出して欲しいのです。
私みたいな人間には一番出会いたくないお店かもしれませんね。

③常連客、ご贔屓さん、お得意様 = 安泰
開業約1年の顔見知りのバー経営者さんがこう言っていたんです。
「結構固定客がついてきたので軌道に乗りましたね」
内心、「うーん…」です。
多くのお店は、開業して1~2年もすれば少しは固定客もついてくるとは思います。
でも実は、ここで安泰と捉えるかどうかが肝心な局面になるとも考えています。
説明していきますね。
常連客、ご贔屓さん、お得意様、固定客…いろんな言い方はありますが、まとめるとヘビーユーザーです。
飲食店のみならずどんな商売においても非常にありがたい存在です。
そして私たちも、何かの、どこかの、ヘビーユーザーだったりしますよね。
飲食店や商店、リピート買いしている商品、利用し続けているサービス。
でもその中で、例えば3年前から変わらないペースで利用し続けているものってどれくらいありますか?
大半は、一定の時期だけ利用して、他に変えたり止めたり低頻度になったりしているのではないかと思います。
それと同じようにあなたのお店によく来てくれているお客様たちのほとんども一定の時期だけです。
ようするに、目の前の固定客に安心してはいけない、ということです。
これは、長く営業されているお店の方でしたらみなさん実感するところだと思います。数年ごとにお客様たちの姿が変わっていくのを目の当たりにしてきたでしょうから。
固定客は決してお店の安泰を示しているわけではないと、何度も何度もここに書き連ねてきた私ですが、そんな私ですら、自分のお店で満席状態の日が続くと、満足感と安心感が沸いてきてしまうんです…。
しかし必ず「このお客様たちはいつか来なくなる」と自分に言い聞かせて翌日からまた気持ちのリセットをして、常に新規客獲得の為の集客活動に励んでおります。
これについてはいくつか詳しく書いている記事があるので、こちらもよろしければ参考になさってください。
目の前の固定客で満足してしまう危険性を解説しています。常連しかいない店は潰れる?集客の妨げにもなり得る「うざい常連客」の危険性。
お客様が来なくなったのは料理に問題?接客に問題?いやいやその前にちゃんと“コレ”やっていましたか?客が減った・来なくなった意外な原因「新規客へのアプローチ不足」飲食店の永遠の集客活動

勘違いしてはいけない3つのバイアス、いかがでしたでしょうか?
意外と経営者のみなさんが少なからず陥りがちなバイアスだったのではないかと思います。
でも、そんな時ふと振り返って「思い込みかも…」と、なんとなくでも思い出して頂けたら幸いです。
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