飲食店ドラマ「古代から来たお客様のクレーム」恐れが味に出ている!というクレームエピソード

飲食店で起きたお客様からの怖いクレーム。「恐れが味に出ている」実際のクレームエピソード 料理人の茶話

幸いなことに今のところクレームってそんなにないのですが、
実は、開業して初めて頂いたクレームがこれです。
“恐れる気持が味に出ている”

どうにも対応の難しかった、記憶に根深いクレーム。だいぶ昔の話になります。

ちなみに、クレーム対応の参考になるような話ではなく、あくまでコアな思い出話です。
あしからず。

クレームの対応方法についてはこちらの記事をご覧ください。
怒鳴る電話クレームの対応。飲食店経営者の実体験から、怒りのクレームの対処法を教えます。

私のクレームエピソード。実話です。

テイクアウト商品をご購入されに、初めてご来店された中年の女性のお客様。
他のお客様同様、特に変わった様子もなく普通にお買い物をされて行かれました。

翌々日、お料理を気に入って頂けたようで、再度ご来店くださいました。

その時はたまたま他にお客様がいなかったことから、
「すごく美味しかったのでまた来ちゃいました」
「このお料理には何が入っているんですか?」
など会話をしながらお買い物をされていました。

しかしその会話は、商品やお店の話からだんだん世間話になってきて、突然、告白するようにこう言われました。

「実は私、古代エジプトの王族の生まれ変わりなんです」

おっと…

一瞬戸惑うも、いや、占いとかでそう言われたのかな、と簡潔に脳内で整理しつつ「へぇ!なんかカッコいいですね」と、つきなみな言葉を返します。

不可思議な話に対応力を失う。

お客様の話は続きます。
その時代を生き抜いてきたような、歴史、王族に起きた変革、自分は古代から現代に向かわされた使途であること…

ふむふむ。とりあえず聞きます。

でも私は歴史が苦手な上に、スピリチュアルは極めて不得意分野です。
内容はまるでサイエンスファンタジーの世界。

お客様はいたって真剣で、とても思いつめたような表情でお話されているのですが、私は心が抵抗しているのか、掘り下げないようぎこちない受け答えになってしまいます。

古代から伝わる不吉な未来が書かれた予言書を持って現代に生まれてきた、と言われれば、
「貴重文献ですね!」と笑顔で返し、
生まれ変わりの身だとバレつつあり、現代の何者かに追われている、と言われれば、
「危険なときは警察に相談を」と心配げに返し、
ちょくちょく話を現代に引き戻そうとしますが、お客様は古代に帰ってしまうのです。
自分の会話術の未熟さを痛感しましたね。

そして、約20分ほどでしたか、他のお客様が来られたこともあったのか、購入されたものを手に取り、お帰りになりました。

お帰りになられたあと、私の旦那さん(歴史・スピリチュアル好き)がお店に用事で来たので、さっきお客さんからこんな話を…とエピソードを話したのですが。

クレームの電話が来る。

閉店時間に近づく頃、お店に電話が入ります。

客「今日、そちらでテイクアウトした者ですが。生まれ代わりの…」

ちょっと、いや、結構イヤな予感がします。

私「あぁ!先程はありがとうございました。どうされましたか?」

客「あなた、さっきの話、怖くなって誰か他の人に話しましたね?」

私「え、あー主人が古代歴史に詳しいのでどんな時代だったのかを。なにか問題ありましたか?」

客「いえ、言うのはいいんです。あなた、取り繕っていましたけど本当は私のこと恐れていますよね?」

…正直ちょっと怖かったし、ヤバイ、隠しきれてなかったんだ…。

客「私が使途と知って、この世に不吉なことが起こるんじゃないかと恐れていますよね?」

…ちがうちがう、そうじゃない、そっちじゃない

私「そんなことはないですよ。何か不手際がございましたか?」

客「私のことを恐れていることがお料理から伝わってくるんです」

私「申し訳ございません。お口に合わなかったでしょうか?」

客「味は美味しいです。接客に不満もありません。でも料理を通じて作り手の気持がわかってしまうんです。親身なふりをして、あなたがそんなふうに私のことを…残念です。」

私「お料理は開店前にお作りしているものですし…何かお気に召さないことがありましたら申し訳ございませんでした」

客「二度とお店には行きません。いい顔したって心の中はわかるんです」

私「…はい」

ブチッ。

叱責は体感上10分ほど。どんな言葉を返すのが正解なのか皆目検討もつかないまま、お客様の訴えを聞くしかない時間でした。

話はここまでです。

その後、そのお客様もお店にいらっしゃることもありませんでした。

嗚呼、万能な対応力があれば…

いろんなお客様が毎日いらっしゃいます。
接客には当然ながら会話力も重要です。
しかし時に、興味のない話、知識のない話、受け答えに困るような不測の会話も投げかけられます。

今回お話は、かなりコアなエピソードではありますが、でもあの時どんな対応したら100点だったのか、今でもふと考えることがあります。

どんなことがあってもお客様みなさんが笑顔になってお帰り頂ける対応力…

そう、明石家さんまさんのような人間になりたいものです。


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