記事内に広告を含みます

戦々恐々、飲食店の食中毒。実際に起きた2つのお店の食中毒の話。症状、原因。

飲食店の集客方法「活気と円満」は集客の絶対条件。 料理人の茶話

飲食店にも利用者にも恐怖の食中毒。

手洗い、消毒、加熱などで最小限に抑えることは可能ですが、目に見えない敵なだけに完全に防ぐことは非常に難しいものでもあります。

前回は『思い込み食中毒は危険ですよ』というお話をしました。(記事はこちらです。よろしかったらご覧ください→)「○○を食べて、あたった!」それ思い込みじゃない?わりとよくある食中毒の危険な先入観。

引き続き、今回も食中毒のお話しなのですが、今回は、実際に起きたお店2店舗の事例をお話をしたいと思います。

食中毒予防のイメージ・参考になれば幸いです。

居酒屋A店、カンピロバクター食中毒の疑い

居酒屋A店で起こったカンピロバクターによる食中毒の疑いの話です。

ある日、家族4名グループのお客様がご来店され、お酒、お料理を楽しまれました。

翌々日、お店に一本の電話が入ります。

「おととい、そちらで4人で食事をしたのですが、そのうち3人が食中毒のような症状を…」

聞けば、2人が嘔吐下痢、1人に下痢のみの症状が出ているとのこと。
責任者はお客様の体調を気遣うとともに「当店の可能性もありますので、大変恐れいりますが○○保健所へ連絡してください」と伝えます。

このお店はPL保険に入っており、万が一の事故などに備えていました。
しかし、保健所等機関が間に入ってこのお店が食中毒の発生源だと認定されないと、補償の対象にならないんですね。
お客様にも、個人間では対応ができない、当店が食中毒事件と認定されれば医療費など金銭の補償の意思がある、との旨を伝えて検査を促しました。

お客様は大変立腹の様子でしたが、それしか方法がないことに理解を示し、お店のナビゲートに従います。

それから2日後、保健所から、
「当該の4名からカンピロバクターが検出され (1名は無症状) 、申告内容からA店から食中毒が発生した可能性があるため、明日、立入検査に伺う」と連絡がありました。

このお店には、卓上コンロでお客様自信がお肉を焼くメニューがあり、
鶏や豚のホルモンなどをこのお客様たちが食べていたことから、過熱不足による食中毒の可能性が推測の一つとして立てられました。


しかし、実際に保健所が立ち入り、厨房の冷蔵庫や調理台、調理器具など検査をされましたが、カンピロバクターの検出はされなかったのです。

そうなると、『このお店から食中毒が出たという確固たる証拠がない』ということになり、食中毒の認定には至りませんでした。
おまけに4名とも同一世帯で生活しているということもあり、食中毒発生原因の可能性がこのお店だけに絞ることができない…。

しかしお客様は、家族4名がこのお店での食事以外に共通して食べた食品がないことを理由に、怒りがおさまらず訴え続け、お店側は『不安にさせてしまったお詫び』として小額の品でお見舞いするという対応になったそうです。

焼肉店などお客様自ら焼きながら食べる形態の飲食店では、加熱不足によるカンピロバクターの食中毒は珍しくないんですよね。
有名タレントさんが経営する焼肉店でも同様の食中毒が発生し、謝罪会見されていたのを記憶している方もいらっしゃると思います。

カンピロバクターは他の食中毒菌に比べてわりと少量で発症させてしまう力があるので、生の肉に抵抗の薄い日本ではとても多い食中毒なんです。

十分な加熱を促しても、見誤ったり、あえてレアやミディアムを好む方もいて、後を絶たない食中毒事案でもあります。

お得なランチで集客 お得な焼肉ランチ


仏ベスト・ソムリエ厳選ワインをウォーター・サーバのように注いで楽しめる!
BiBoViNo(ビボヴィーノ)日本初上陸

レストランB店、ノロウィルスによる食中毒事件

レストランB店のノロウィルスによる食中毒の話です。

このお店は洋食系のカフェレストランなのですが、ランチは一部の料理がバイキング形式で、ランチ時の来店客数は通常20~30名という中規模の飲食店です。

その日は、料理人を含む5名のスタッフでまわし、これといった変化もなくいつもどおりの営業でしたが、
翌々日「このお店を利用したお客様3名が体調不良を訴えノロウィルスに感染したしたことが判明した」と保健所から連絡が入りました。
申告内容などからその日のランチでの感染が疑われる、と。

症状はランチを食べたその日の夜から翌朝までに腹痛や嘔吐があり、うち1人は脱水症状で点滴を受けたそうです。

バイキングという、多数の人が料理に接するという形式上、ウィルスが他のお客様によって運ばれたものである可能性ももちろん疑われるのですが、立入検査とスタッフ全員の検便により、そのノロウィルスは当時ランチタイムで配膳・接客などを担当していたスタッフ1名から出たものと判明します。(遺伝子の型で発生元がわかるそうです)

そのスタッフは前日(公休日)に軽い胃痛と頭痛があったそうですが大した症状ではなかったことと、当日にはほぼ治ったため通常通り出勤したそうです。その後、発覚までに他1日の勤務もしていました。そのスタッフの勤務日に来店されたお客様は50名以上。

そのため感染拡大の可能性がある、ということになるのですが、連絡先もわからない多数のお客様たちには確認の取りようもなく、HPで告知し、心当たりのある他のお客様からの申し出を待ちましたが、以降、それに関わる連絡はなかったそうです。

食中毒発生として認定されたためお店は3日間の営業停止処分、感染したスタッフは検便で陰性になるまで2週間弱の自宅待機、
被害にあったお客様には治療費、交通費、また、全員お勤めの方だったため治療期間中の給料などの補償で対応したそうです。

このお店の事例の場合、認定された感染者数が思いのほか少なかった印象がありますが、症状には個人差もあり、発症しても我慢して自然治癒した人、軽度でさほど気にならなかった人がいたであろう可能性も否めないのです。

ノロウィルスというと牡蠣であたるイメージがある方も多いと思いますが、人と人でも感染する、感染力の強いウィルスです。夏よりも冬の方が食中毒発生件数が多いのも特徴です。

飲食店で起きたお客様からの怖いクレーム。「恐れが味に出ている」クレームエピソード。お惣菜を購入後…


現在、日本では食中毒の原因として、カンピロバクター、ノロウィルス、アニサキスが全体の8割ほどを占め、食中毒事例の半数以上が飲食店で発生したものです。

ちなみに、アニサキスとは魚介によくいる寄生虫で、多くは加熱や冷凍、スライスなどによる切断によって死ぬのですが、その処理が適切に行われず生きたまま体内に入ってしまうと胃壁や腸壁を食い破ろうとし、激しい腹痛(のたうちまわるほどの激痛と聞いています。汗)や嘔吐などに襲われます。内視鏡で虫体を摘出する処置が一般的ですが、外科手術に至った事例もあるようなので恐るべしです。
魚を生で食べる日本に多い食中毒ですね。



いつ、誰の身に降りかかってきてもおかしくない食中毒。

実際に起きた事例のお話でした。



最後にうちのマストアイテムを紹介します。
消毒もして肌にもやさしい、しっとりするけど作業の邪魔にならない、大容量でコスパも良い、何度も消毒する飲食店の強い味方です。
ちなみに、しっとりすると言ってもハンドクリームほどではないですが、頻繁なアルコール消毒による手荒れの軽減に、とてもおすすめです。




こんな記事も書いています。
怒鳴る電話クレームの対応。飲食店経営者の実体験から、怒りのクレームの対処法を教えます。


『料理人あるある9選』料理人は妻の料理にうるさい?低学歴?サイコパス?料理人によくある特徴とは


タイトルとURLをコピーしました