飲食店ならどのお店も、第一に力を注ぐ、料理とメニュー採用。
今回は、客単価を上げて売り上げを伸ばすメニュー決めの法則のお話です。
お酒の提供を伴う居酒屋・バー・ダイニングなど、お客様にゆっくり飲食していってもらいたい飲食店に向いた内容となっています。
もちろん地域性、規模、業態など様々な要素も踏まえて考えなければなりませんが、メニュー決めの、いち参考材料としてお役に立てれば幸いです。
①個性と平凡を上手に取り入れる
これから開業を考えている方や、メニュー考察に悩んでいる方にアドバイスを求められると、まずおすすめするのが、 個性と平凡を上手に取り入れる、ということです。
ここで言う個性の料理とは、他店と差をつける創作料理。特にお店の『売り』となるような料理です。
逆に平凡な料理とは、慣れ親しんだ味、日本の定番料理。オリジナリティと真逆の料理を指しています。
個性だけだと幅広い集客が難しかったり、
かといって、平凡なものばかりでは魅力や特色に欠ける…
このバランスの良し悪しが、客単価すなわち売り上げに影響してくるものと考えます。

●個性
個性である、お店の『売り』になる目玉商品は必ず設定するべきですね。
例えば、どんなお店か説明するときに、
『なんかいろいろあるお店』とか『普通の居酒屋』と言われるより、
『○○が人気のお店』『ここでしか食べれない○○』『日本酒の種類が豊富』などと言えるお店のほうがイメージが沸きやすく、印象付けが高まるのです。
人の多くは、気分や状況によって目的をもって飲食店を選びますから、コレ!って言う料理の印象がないお店は、その選択肢にも上がりにくくなってしまうんです。
●平凡
一般的である、慣れ親しんだ味、定番料理とは簡単に何かと言いますと、
例えば唐揚げ、ポテトフライ、カツやコロッケなど揚げ物、サラダ、ウインナー、漬物、
主食系だとお茶漬け、おにぎり、チャーハン、ピザ、ラーメンなどの麺類も安定の料理ですよね。
甘いものだと、アイス、プリン、チョコレートなど。
そう、わりとどこ行っても食べられる料理です。子供も好きそうな。
チェーンの飲食店なんかはサイドメニューにこういったものがよく設定されています。
「そんなのうちの店じゃなくても、どこでも食べられるじゃん」って思いますよね。
私も昔、そう思ってました。
でも、どこでも食べられるほど出現率が高いと言うのは、それだけ多くの人が好むものということ。
特に、お酒をよく飲まれるお客様はお酒が進んでくると、小難しい料理やイメージの沸かない料理よりは、わかりやすい料理を好む傾向があります。
人ってわりと保守的なんですよね。
こちらの記事でも詳しく書いているので、よろしかったらご覧ください。
飲食店の集客方法「酔ったときに食べたくなる食べ物」の巻。飲食店のメニュー作りの参考に。
②メニュー数は多いほうが良い
特に居酒屋形態に向けた話しになりますが、やっぱりメニュー数は多いほうが良いと思います。
ただ、これはお店の規模によるので一概に“このくらい”と数値化して言えないのですが、
例えば、メニュー数20品あればまあまあの品数に感じますが、実際にお客様がメニュー表の中から自分の好みのものを探そうとすると、意外と少なく感じるものです。
もちろん、好みのものが20品あるわけじゃないですからね。
あくまで私の体感上ですが、お客様がメニュー表の中から「お金を払っても食べたい」と思う料理に出会う確立は、総メニュー数の1割前後くらい…という人が多いのかなと感じています。
例えば、メニュー数20品程度なら、その中でお客様が「あ!これ食べたいな!」と思える料理は単純計算で2品ほど。
1度の機会で2品あればとりあえずは楽しめるかもしれません。
しかしちょっとお酒が進んできた時に「うーん、もうちょっと飲みたいけど他に食べたいものがないな…」となってしまうと帰られたり別のお店に移られたり…という売り上げのチャンスロスにもなり得るのです。
また、リピーターになってもらいたいなら「これは次回に食べよう」と思ってもらうためにも、料理数はもうちょっとあった方がいいと考えます。
ちなみにうちのディナー部門の話をすると、総メニュー数は日替わり商品も入れてだいたい70~80品くらいです。
二毛作スタイルという性質上、材料のやりくりに有利な点もあり、他店に比べてメニュー数は多いほうだとは思います。
うちに興味を持って来てくださるご新規さんはよく目玉商品を頼まれますが、必ずしもみなさん目玉商品を目的に来られているわけではありません。
リピーターさんなんかは、何が食べたいという目的がなくても来てくれる方も多いです。それは料理もドリンクもそこそこにメニュー数があるからだと思います。
その他にも、
・メニューがいろいろあることによって好みが様々な知人など誘いやすい、
・1件目の店としても、2件目の店としても使いやすい、
そんな利点もあります。
なので、ゆっくり飲んでいって欲しいならメニューは多いほうが良いと考えます。
もちろん、手に負える範囲で、です。
たまに、メニューがたくさん貼り出された居酒屋などで、実際に頼むと「今日ちょっとないんですよ~」と欠品ばっかり…なんてお店に遭遇することがありますが、あれはダメです。
お客様が料理を注文する時は、もうそれを食べる気構えになっているわけですから、そこを挫かれてしまうとストレスとなってしまいます。

④“ ブーム ” はいつか終わることを前提に
毎年毎年、いろんなブームや最先端グルメがやってきます。
そうするとそれを取り入れるお店がちらほらと出てきます。
でも、どのブームもほぼいずれは終わります。なので、そこに頼ってしまっていると…わかりますよね。
先ほども言いましたが、やっぱり人間の保守性ゆえの現象だと思うんです。
新しいもの、話題のものに興味は沸くけど、落ち着くのは結局のところ馴染みの味、定番の味。
だから波のように押し寄せてはサーッと引いていく、ブームと言う現象が何度も起きるわけで。
例えば、たこ焼きや唐揚げ専門店などでは、いろんなトッピングやフレーバーがありますが、だいたい1番人気は、シンプルで定番の味だったりしますよね。
近年は、SNSの傾向により、新しいお店(料理)は、一度行ったら(写真撮ったら)満足、という若者を中心としたホッピングとも言える動向が大変目立ちます。
メディアで取り上げられて、行列ができたお店や、何ヶ月待ちになったお取り寄せグルメ。
押し寄せる大波に対応すべく、店側は人員や設備など増設するものの、いずれ訪れる引き波によってそれが逆に大きな負担に変わってしまうなんていうのもよくある話です。
しかも近年は、飲食店の飽和状態により、この引き波のスピードもまあ早いこと。
人は、新しいものや未経験のもの対して探索・情報収集などで頭を使うより、目に見える人気に乗っかったほうが間違いないと思う性質があるんですね。
それなのに結局は保守的という…。
ですからこれらの現象を考えると、ブームや最先端を取り入れるのは、期間限定などイベント的に、またサブカルに、扱うことをおすすめします。
よほどの商業テクニックがあれば話は別ですが。
④お客様の「美味しい」を過信しない
お客様の「美味しい」を信じるな、と言うわけではないのですが、もっと砕いて言うと『その料理の評価として大きく参考にしないほうが良い』ということです。
理由は、 本心かどうかわからないから 。
「まじやばい!」「これ最高だね!」「ここが1番美味しい」
お客様が料理を喜んでくれたら最高に嬉しいですよね。その料理に、より一層の自信が沸きます。
ちょっとした試作品や、メニューにないものをサービスでお客様にお出ししたとき「これ絶対売れるよ!」なんて言われたり…。
ただしそれ、大して本心じゃないこともごくごく普通にあるわけです。
でも、お客様のほうもわざわざ嘘をつくとか騙すとか、そんな大それたことではないんですよ。
その時のノリ、相手への気遣い、自分が良い人でありたいがゆえ、など無意識にも近いような軽い感覚で言うのです。
みなさんも経験ありませんか?なんとも思わない料理をなんとなく「美味しい!」と言ったこと。
でも、実際にお客様がよく注文する料理や、またその箸の進み方には、本当の気持ちが表れます。
そりゃそうです。お金払って食べるんだから、単純にお客様がよく食べているものが、そのお客様にとって本当に美味しいものです。
ほら、よくあるじゃないですか。
合コンで、女子が「サラダ食べたい」と言って、頼むけどだいたい残るとか。
「私、薄味派なんだよね」って人がマヨネーズいっぱいつけていたりとか。
よく見ていると、意外とお客様の言葉とアクションに相違があることがわかってきます。
ですから、お客様の言葉より『行動』のほうから、分析、研究していきましょう。
いかがでしたでしょうか?
顧客心理から考える、売り上げ(客単価)を上げるための飲食店のメニュー決めの法則。
メニュー考案の際のお役に立てれば幸いです。
こちらの記事ではお客様が反応しやすいメニュー表作りについて綴っています。よろしかったらご覧ください。
飲食店必見!売れるメニュー表の作り方コツ5選。お客様が思わず頼みたくなるメニュー表。集客術
